ある日、
わたしのクライアント法人さんのもとへ
税務署から以下のような書類が届きました。
社長は・・・
「先生~!! こんなの届いたけど、なんですかこれ???」と。
赤色でマスキングした個所には、
わたしのクライアント法人さんの外注先(A社さん)の住所と社名が書かれています。
即座に、わたしは社長へ説明しました。
▼竹岡▼
「あ、これね。
御社が外注で使ってはるA社さんが、
実は、税金を滞納しているようですね。
だから、税務署は、差し押さえをするための準備として、
A社さんの得意先各社にこのような照会書を送付して、
各得意先からの入金状況を確認させてほしい、
ってことなんですわ」
▼社長▼
「へー、そんなのがあるんですね。
これ、税務署に出さなかったらどうなるんですか?」
▼竹岡▼
文中に「根拠条文 国税徴収法第141条 質問検査権」
って書いているでしょ。
税務署は、
この質問検査権という法律に基づいて執行しているから、
回答して下さいよって言っているんです。
で、これを拒否したらどうなるか?って話ですが、
書面にはそこまでは書いていませんけど、
「国税通則法第128条」ってのがあってですね、
正当な理由なしに回答を拒むと「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」
って事態を招くんです。
▼社長▼
えー、それは中々キツイですやん。
じゃあ、ぼくはが回答しなかったら、
ぼくまでも罰せられるって事ですか???
▼竹岡▼
ん~、100%そう!とは断言できませんが、
100%大丈夫!とも言えませんね。
少なくとも、
法律的には、回答してくれなかったら、
そのような罰を科すことができるって
ことになっていますからね。
社長は、回答するのがイヤですか?
▼社長▼
いえいえ、全然、それはイヤじゃないです。
出さなかったらどうなるかってチョットお聞きしてみただけです(笑)
ちゃんと出そうと思います。
ただ、気がかりなのは・・・
このA社という外注先の社長ですが、
普段、ベンツにも乗ってはるし、
A社の得意先も大きな会社が多いようだし、
なのに税金を滞納しているってことは、
ちょっと危ないってことですか?
この先、うちの仕事の外注を頼まない方がイイんですかね?
▼竹岡▼
立派なビルの会社でも、
社長が高級車に乗っていても、
「内情はボロボロ」ってことも往々にしてありますからね。
外見だけでは全く判断できません。
ただ、外注先のA者さんが
このような事態を招いているってことは、
相当期間に渡って税金を滞納しているって証拠でもありますから
国(税務署)としては、これから差し押さえにかかるでしょうね。
売上資金が入らないとなると、経営自体が危なくなりますね。
そもそも、税金を滞納している時点で資金繰りが危険な状態ですから。
そして、差し押さえの憂き目にあうと、
差し押さえの情報が金融機関の「信用情報」にも記録されますから、
銀行融資も受ける事が出来なくなり、
資金調達がかなりキツイ状況に追い込まれます。
そうなるとA社さんは「倒産」あるいは「飛ぶ」可能性だってあります。
このような状況でA社さんに仕事を発注して、
もし途中で飛ばれたら、
御社の得意先に多大なご迷惑をかけることになり、
場合によっては、御社が賠償責任を負うことにもなりかねません。
だから、厳しい判断ですが、
できればA社さんには今後、発注しない方が安全ですね。
仮に、発注するにしても、
他の業者で代わりが効かないような重要な仕事は依頼しないでおくか、
あるいは、ごく小さな金額の仕事しか依頼しない形にした方が無難ですね。
▼社長▼
確かに・・・。
倒産とか飛ばれたたりして、
うちから頼んだ仕事を途中で投げ出されて、
うちの得意先に迷惑をかけることが一番怖いので、
今後は外注の依頼をしないようにしますわ・・・。
▼竹岡▼
そうですね、しばらくはそのようにして、
今後、A社さんの動向を見守った方が良いですね。