法人に比べて、個人事業主さんの方が、
圧倒的にドンブリ勘定の方が多いです。
なので、
「利益は出ているのに、なんでお金が残ってへんのやろ・・・」
というお悩みを抱えている人がとても多い。
そんな方々に対して、
損益分岐点やらキャッシュフローやらと専門用語でご説明しても
顔つきがドンドン険しくなっていきます。
ぼくたち税理士をはじめとする専門家の人たちは、
ビシッと各種の資料を作る割には、
その資料が逆に重たすぎて(難しすぎて)、聞き手を混乱させるのが得意です。
ですが、ぼくは、自慢じゃないですが、小1以降、
ずっと算数が大嫌いで育ってきました(自慢するな!w)
だから、数字が苦手な人たちの気持ちがメチャクチャ分かりますので、
最初から、そのような難しい資料を使ったり、
専門用語は絶対に使いません。
では、どうやってご説明申し上げるのかと言いますと、
「ざっくり」です。
この「ざっくり」というのが、結構ポイントです(笑)
これはあくまでもぼくの経験上ですが、
個人事業主で一番しんどい事業規模は
「年間利益が500万円前後」の方々です。
年間利益が500万円前後クラスの方々は、
売上は一応それなりにあります。
しかし、生活費や借入返済や税金を払うとお金が残らない、
あるいは、家庭のお金を持ち出しをしないといけない、
という状況の方が結構な割合で多いです。
そこで、ぼくは次のようにご説明します。
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年間生活費+決算書の利益の30%+年間返済資金
・・・これが1年間で必要なおカネ(利益)です
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金額を入れた方がイメージが湧くので、例題を見てみましょう。
例えば、
年間生活費が360万円、年間利益300万円、年間返済額(元金部分)60万円の人であれば、
360万+(300万×30%)+60万円=年間510万円の利益が必要となり、
現状の年間利益300万円では、210万円不足していることが分かります。
ただ、「では、210万円足りないからなんとかしよう!」・・・となると、
お客様にとって、サイズ感が少し大きすぎて、マッチしません。
ここでぼくがとても大切にしているのが
【お金の大きさを、お財布感にまで落とし込むこと】・・・です。
年間不足額210万円を12か月で割ると、
ひと月で17万5千円。
次に、
これを30日で割ると5,833円なので、約6千円弱
・・・となります。
「えー、1日6千円くらいのことで、
わたし、困っていたの?!」・・・と。
そうなのです。
意外と「それくらいのこと」で
世の中の事業主さんは頭を悩ませていることが多いのです。
毎日100万円足りない!という人なんて、
普通の商売をしていたらまずあり得ません。
このように、
お金の「サイズ感」をお財布に入るくらいの規模にまでダウンサイジングすることで、
初めて、お客さんの頭の中で計算機が動き始めます。
これがとても大切なことなのです。
ぼくたち税理士は、
しょせんその道の商売人ではありません。
その道のことはお客様の方がよくご存じです。
だから、小さなヒントによって気付いて下されば、
あとは、その道の専門家であるお客様ご自身が
色々と考え始めて下さります。
エースストライカーに的確なパスを出す、アシストのような役割も、
ぼくたち税理士の大切な役目だなといつも思っているところです。
追伸
1日6千円、手取り(利益)を増やそうと思えば、
それを売上UPで賄うのか経費削減で賄うのかによって、
実際には具体的な取り組みは異なります。
売上で賄う場合は、一日6千円の手取りを確保するためには、
1日6千円の売上UPでは足らず、固定費と変動費の整理をして、
粗利を確立させ、損益分岐点売上高を算出しないといけません。
固定品削減は直接的に利益増につながります。
ただ、このような話は、続けざまには申し上げないようにし、
「第2段階」として敢えて取っておきます。
なぜならお客さんにとっては、せっかく気付きを得たのに、
また難題が現れた!と再び頭を悩ませてしまうからです。
なので「1日6千円か!」と、
お客さんが第1段階の気付きを得て下さったら、
一旦、ぼくは「お客さんの思考タイム」(ネタ出しタイム)を
しばし見守らさせて頂くようにしています。