売上は、経営者にとっては「お守り」のようなもの
増えれば安心するが、減れば夜も眠れない。
売上が増えると、自ずと、
変動費(仕入などの売上原価)も上がる。
このことは経営者ならば誰でも理解している。
しかし、売上が上がってくると、
毎月固定のはずの費用(固定費)も
上がってくる事がよくある。
<固定費の増加例>
●従業員を増員したので給料が増えた
●社会保険料や労働保険料が増えた(見落としがち!)
●福利厚生費が増えた。
●消耗品の使用量が増えた。
●水道光熱費が増えた。
●借りている駐車場を増やした。
●倉庫が手狭になったので、もう1件借りた。
これらは通常、会計の世界では「固定費」とされる。
つまり、売上が増えても、
仕入代のように連動して増えない経費、という意味だ。
しかし、実情はどうか・・・。
確実に固定費は増えるのだ。
売上UPをして、粗利が増えて、固定費は一定だから利益がワンサカ!
なんてことにはならない!!!
多くの中小企業経営者が資金繰り難に陥る理由はここだ。
だから「売上が増えればHAPPYになる!」という妄想を
一度捨てる必要がある。
つまり、売上至上主義を辞めるのだ。
売上は下がっても大丈夫。
その代わり、「粗利率で勝負をする!と決断する。
実際にあった話
この社長は、当初、
「今月は売上が●●万円くらいになりそうです!」
「来月は●●万円くらいの売上が取れそうです!」
と、売上の金額を話するタイプの人であった。
しかし、私はキッパリと社長へ言った。
売上はどうでもよろしい。
それよりも、
電気工事を行う現場ごとの原価を
算出し、現場別粗利率をはじき出すように、と。
私は事前にエクセルで作成しておいた
「現場別の粗利率算出シート」を差し出し、
入力方法を指導した。
すると、あることが分かった。
この会社の業態から言えば、粗利率は、
40%台は確保しなければいけないのに
「たったの数パーセント」しか発生していないではないか!
この社長は若いこともあって、
売上を獲得することに全精力を注ぎ、
しかも、粗利を「金額」でしか見ていなかった。
粗利の率は完全に見落としていた。
こんなに売上が増えているのに、
なぜお金が足りないのだろう・・・。
なぜ借入ばかり増えていくんだろう・・・・。
今までの社長の疑問は一瞬で払しょくされた。
「売上だけじゃなく、粗利が大事。
しかも、粗利は金額だけじゃなく、
利益率でもしっかり検討する必要がある・・・」と。
売上がドンドン増えて行っていたのは、
この会社の提示する見積価格が極端に低い為であった。
だから、注文がバンバン入ってきた。
けれど、仕事をすればするほど、
変動費(材料仕入・外注)を賄いきれず、
また、売上増加に伴う固定費のベースアップを支払えず、
銀行借入頼りという体質になっていたのだ。
この話のように、粗利益の金額は見積もっいても
粗利率(%)についてはあまり頓着しない人も多い。
商売人ならば、もっとそこにこだわるべきだ。
インターネットで検索すれば
中小企業の同業平均データなんてすぐに見れる。
自分の業界の適正な利益率、自社の抱える個別事情・・・。
それらを勘案して、かつ、金額だけではなく、
「比率」でもしっかりと粗利益を見積もる必要がある。
私はこの会社の社長に、売上至上主義を辞めて、
売上はちょっとくらい下がっても良いから
粗利率UPにだけ取り組んでもらった。
すると、どうなったか。
3か月目くらいからお金が溜まり始めた。
「月末に、銀行にこれだけお金が残っているなんて!」
社長は初めての経験に歓喜した。
みなさんの会社はどうだろうか?
当然、会計ソフトできちんと入力しているだろう。
しかし、現場別、商品別・サービス別で「原価と粗利」を、
そして、そこから個別の粗利率を算出できるような
会計体制を日頃から整えているだろうか?
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