いま「金」が非常にアツイのです。
「金」と言っても「カネ」と読む方ではなく、
いわゆる「ゴールド」の方であり、
「金地金」(キンジガネ)と呼ぶこともあります。
金相場は非常に高騰しており、
20年前くらいは1グラム1,500円くらいだったものが、
今ではその10倍!!
なんと、1グラムで15,000~16,000円に!!
と、そんな高騰している金ですが、
先日、こういうご相談を受けました。
「金を、おばーちゃんが贈与してくれると言うので、
もらおうと思っています。
税金、どらくらいになりますか?
そして、それを売ったら、どうなりますか?」
さっそく、わたしは補足情報をヒアリングしつつ、
ざっと贈与税額をはじいてみました。
ん~、マンダム!じゃなく、
ん~、かなり高額(;^ω^)
(メモ)
贈与税は、
贈与財産の贈与日における時価から基礎控除を差引し、
それに税率を掛けます。
贈与税は、あらゆる税の中でも
累進課税が一番キツイので有名です。
しかも、その方は、贈与でもらった金を売却して、
住宅ローンの返済にでも充てようと計画しておられましたので、
そうなると、贈与税を払ったあげく、
確定申告で「金の譲渡所得」の申告をして、
所得税・住民税も払わないといけません。
(メモ)
金を売った場合の譲渡所得の計算は、
売った金額から、買った当時の価格と譲渡費用を差し引き、
そこから50万円を控除した金額を二分の一する
・・・という計算になっており、かつ、
給与所得などその他の所得と合算(総合課税)して
納税額を算出します。
そうすると、
つまり、贈与税を払い、譲渡による所得税&住民税も払うとなると、
この人の場合、もらった金の1/3は税金で消えていくという試算になりました。
もう、キャー、ですよね💦
しかも、しかも・・・
金をくれると言っている肝心のそのオバーチャンですが、
実は「認知症」が入っているようで、
誰が誰だかも分からないご様子のとこ。
そうなると、贈与という法律行為自体が
不成立となるかもしれません。
贈与は、民法では「諾成(ダクショウ)契約」と言い、
あげますよ&もらいますよ、という双方の合意の上で
成り立つ行為です。
贈与は、口頭でも書面でも、どちらでもOKなのですが、
贈与する相手である孫を見ても、誰だか分からないくらいですから、
そもそもの贈与という行為自体が不成立となるリスクがあります。
さらによく聞けば、
オバーチャンの娘である「相談者の母親」が、
近々に迫っていそうな相続の気配を感じ、
オバーチャンの財産を先に分けておこう、
と考えついたようです。
ですから、実は、オバーチャンからの贈与の申し出ではなく、
相談者の母親が陣頭指揮を取っていた訳です。
よくあるんです、こういうのって。
相続が近そうだから、その前に、
財産を分配しておこう、という動きが・・・。
でも、税務署は、
そういう行為がよく行われていることはお見通しですので、
相続税申告をした財産内容も当然チェックしますが、
むしろ、申告していない財産や、そして、
死亡前の数年間の財産の動きを非常に細かくチェックします。
しかも、相続税申告においては、
現金および金融資産の申告モレが圧倒的に多いのです。
なので、この相談者さんの場合、2つの問題点があります。
【1】そもそも、祖母が認知症であれば、
贈与という法律行為自体が認められないという問題。
(他の相続人にとっては法定相続分侵害となり、訴訟問題にもなり得る)
【2】相続税の租税回避行為とみなされて、
重加算税の対象なってしまう問題。
ただ、幸いにも、贈与を実際にしてもらう前の段階ですので、
このような大問題は絶対避けるべきです。
そのための、いくつかの解決策を提案をさせて頂きました。
ご本人も、こんな大きな問題をはらんでいるなんて
全く予想もしておらず、非常にびっくりされておられました。