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連続税務小説 ヤマゲン 第17話「その封筒は、質問ではなかった」

2026/01/17
連続税務小説 ヤマゲン 第17話「その封筒は、質問ではなかった」

 その封筒は、前よりも薄かった。

 色も、文字も、見慣れている。
 差出人は、また――税務署。

「……今度は何や」

 田中 恒一は、机の上に封筒を置いたまま、
 すぐには開けなかった。

 嫌な予感、というほどではない。
 でも、軽くもない。

 ようやく開けると、
 中には一枚の紙。

 「お尋ね」

 調査、ではない。
 呼び出し、でもない。

 ただ、
 いくつかの質問が並んでいる。

 ・材料費が前年より増加している理由
 ・外注費の内容と支払先
 ・家事按分の考え方

「……来たな」

 心臓が、
 一段、強く打った。

 これまでやってきたことが、
 頭の中を駆け巡る。

 理由はある。
 説明も、たぶんできる。

 でも。

 これを、自分の判断で返してええんか?

 田中は、
 先生に電話をかけた。

「先生、
 税務署から“お尋ね”来ました」

 電話の向こうで、
 先生は、すぐに答えた。

「ええ。
 よくあるやつですわ」

 少し安心しかけた、その瞬間。

「せやけどな」

 一拍。

ここから先は、
 立場、変わります

 田中は、言葉を失った。

「……どういう意味ですか?」

 先生の声は、
 いつもより、少し低かった。

「今まではな」

 ゆっくり、言葉を選ぶ。

「考え方を整理したり、
 一般論を話したり、
 “自分で判断するための材料”を
 渡してただけです」

 それは、確かにそうだ。

「でも、この紙な」

 先生は続ける。

税務署に出す文書ですわ」

 田中は、
 手元の紙を見つめた。

「ここに何を書くかで、
 結果が変わる可能性があります」

 胸の奥が、
 きゅっと締まる。

「どこまで説明するか
 どういう言葉を使うか
 それはな」

 先生は、はっきり言った。

責任が乗る判断です」

 沈黙。

 電話口で、
 田中の呼吸音だけが聞こえる。

「田中さん」

 先生は、
 少しだけ声を和らげた。

「ここまでは、
 無料でええと思ってました」

 はっきりと、
 そう言った。

 田中は、
 思わず姿勢を正した。

「でもな」

「これから先は、
 僕の名前と判断が乗ります

 名前。

 その言葉が、
 重く響いた。

「タダでやる、
 いう話やないです」

 先生は、淡々と言った。

「逆に言うたらな」

 一拍。

ここから先は、
 ちゃんと僕の仕事として、
 一緒にやれます

 田中は、
 何も言えなかった。

 “断られた”感じは、しない。
 でも、
 “線を引かれた”のは、分かる。

「急に決めんでええです」

 先生は続けた。

「自分で書いて出す、
 いう選択もあります」

 少し間を置いて、
 こう付け加えた。

「せやけどな」

一緒にやるなら、
 立場、はっきりさせましょ

 電話を切ったあと、
 田中は、しばらく動けなかった。

 今まで、
 先生は“助言者”だった。

 でも今、
 その先に、
 もう一段、深い場所があると知った。

 責任。
 判断。
 立場。

 それは、
 お金の話でもある。

 でも、それ以上に。

 誰と、この事業を進めるのか
 という話だった。

 田中は、
 お尋ねの紙を、
 もう一度読み返した。

 質問は、
 さっきより、
 少し違って見えた。

 これは、
 試されている。

 数字じゃない。
 向き合い方を。

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